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平成19年度 第2回
ちばバイオクラスター交流会の開催報告
期 日:平成20年3月4日(月)
場 所:オークラアカデミアパークホテル 平安の間
テーマ:微生物代謝を利用した新産業 〜メタボロミクスの時代〜
 今回の交流会は72名の参加者を得て、5名の講師から微生物の化合物変換能力や微生物の代謝産物を網羅的に解析する技術などについてご紹介いただきました。本交流会ではさらに微生物及び植物関連のドイツ企業から事業内容について発表いだくことにより、国内に留まらず国外との交流を図り、相互に研究内容等について理解を深めました。また、終了後に交流会を行い、名刺交換など交流を深めました。
 
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精密質量分析によるメタボロミクス

(財)かずさDNA研究所 産業基盤開発研究部長
かずさバイオ共同研究開発センター長

柴田 大輔(しばた だいすけ)氏
主な内容

植物・微生物での物質生産テクノロジーでは代謝産物を網羅的に解析することがキーポイントであり、メタボロミクスという新しい分野の研究が始まっている。私たちは、質量分析を使ってメタボロミクスの研究を行っている。

最新式質量分析装置LC-FT-ICR-MSによるメタボローム解析を行っているが、膨大なデータを処理することがネックとなっていた。そこで、全体をつなぐパイプライン(データ解析システム)の開発に成功した。これによりデータ解析時間が大幅に短縮でき、また、異なるサンプル間の比較も可能になった。

多量に得られた代謝物のデータを遺伝子発現情報と関連付けるためのシステムの開発にも成功しており、俯瞰的に代謝を理解することができるようになった。このようなシステムの開発は、物資生産テクノロジーに大きく貢献するだろう。

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「九州大学のメタボロミクスソリューション」

九州大学大学院 農学研究院 森林資源科学部門 教授

割石 博之(わりいし ひろゆき)氏
主な内容

代謝物一斉解析は標品に依存しているという問題点がある。この解決方法として、高精度m/zデータやMS/MSデータといった拘束条件を段階的に付与し最終的には超高感度NMRスペクトルデータによるフィンガープリンティングにより照合を行うことや、MS/MSデータを蓄積していくことで教師付トレーニング法による絞込みにより、標品に依存しないメタボロミクスを完成させていく。

代謝の動態解析技術として、MSから代謝シミュレーターに直接データを入力するインターフェースが完成した。「Win‐BEST‐KIT」というシステムであるが、パラメーターの最適化・感度解析・バーチャルラボといった機能がある。

メタボリック・プロファイリング(MP)は、代謝物からサンプル間の相違或いは類似点を見出したり、バイオマーカーの探索につながっている。このためには、MSを使ったMPでは化合物の分子量情報を、NMRを使ったMPでは化合物の部分構造情報をあわせて、化学構造ベースでのプロファイリングを目指している。

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「酸化ストレスから酵母を守る新しいアセチル化酵素Mpr1」

奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 教授

高木 博史(たかぎ ひろし)氏
主な内容

発酵生産環境において、酵母は過酷なストレスを受けており、その有用機能が制限されている。このストレスを打破し、産業酵母の高機能化に利用していくため、新しいストレス耐性機構の解明を研究テーマとしている。

独自に見出した3つの機構として、正常なタンパク質が変性しないように守る「プロリン」及び新しい酵素の「Mpr1」、さらに変性したタンパク質を速やかに分解する或いは変性の程度によっては巻き戻す「ユビキチンシステム」がある。

アセチル化酵素Mpr1は、プロリンアナログAZCを解毒する酵素として見出したが、研究の結果、細胞内の活性酸素種の量を制御し、単純な酸化ストレスばかりでなく、冷凍・高濃度エタノールなど発酵生産環境における二次的な酸化ストレスからも酵母を保護することが判明した。

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「ビール酵母のメタボロミクスと育種への応用」

キリンホールディングス株式会社 フロンティア技術研究所 主任研究員

吉田 聡(よしだ さとし)氏
主な内容

トランスクリプトームとメタボロームの結果から、O−アセチルホモセリン(OAH)が酵母における亜硫酸・硫化水素生成の律速因子であることを示した。

硫酸イオンから亜硫酸への代謝とアスパラギン酸からOAHへの代謝を同時に増加させることにより、亜硫酸高生成、かつ硫化水素低生成となることを示した。

2つのアミノ酸アナログに対する耐性株を取得することにより硫化水素生成量が増加すること無く、亜硫酸生成量が顕著に増加した、自然突然変異株を取得した。

自然突然変異株でつくったビールは亜硫酸高含有となっており、他の香味成分にはあまり大きな影響を与えなかった。

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「麹菌が生産する有用な代謝産物」

月桂冠株式会社 総合研究所 副主任研究員

堤 浩子(つつみ ひろこ)氏
主な内容

麹菌(Aspergillus oryzae)は、醸造ばかりでなく、食品や酵素生産にも一部使われていて、2,000年程度の食経験があり、安全であるということから、日本醸造学会で国菌として認定された。

麹菌が生産する有用な2次代謝産物として、清酒の着色原因物質として単離・同定されてきたフェリクリシンがあげられる。このフェリクリシンは機能性ペプチドで鉄を配するという特性があり、ヘム鉄などとは違う鉄供与体の性質を持つ上、食経験もあることから、安定・安定性が高い鉄分補給のための機能性食品への応用も期待できる。

麹菌は培養方法を変えると遺伝子発現が異なることは明らかであったが、代謝産物も非常に異なることが判明した。また、麹菌の代謝物データベースを作成・利用することは、麹菌の有用代謝物の探索・有効利用のための一つの手段になるものと考えている。

☆ドイツ企業発表☆
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bitop AG

Dr. Gerhard Stumm

【主な事業内容】
極限微生物を利用した製品の開発。たんぱく質や細胞膜の安定化を図る物質ectoinの開発。glycoinの開発など。
photoPhytowelt Green Technologies Gmbh

Dr.Peter Welters

【主な事業内容】
植物培養細胞、植物を使用した各種代謝産物の生産。遺伝子組み換え技術や育種技術等を利用して顧客の要望に答える植物改良や物質の生物学的生産に関する研究開発を受託事業として実施。
photo Alpha-Biocare Gmbh

Dr.Heinz Mehlhorn

【主な事業内容】
ダニ、蚊などの忌避剤、シラミ用シャンプー、家ダニ用製品、爬虫類、齧歯類・犬猫のためのダニ用オイル、傷治療のための凍結乾燥された蛆虫からの抽出物、コイなど観賞魚の寄生虫用製品、果物から抽出した寄生虫用製品の開発など。
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