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 このコーナーでは、かずさ地域に関連した研究機関や企業などにおける研究や技術シーズをご紹介します。第2回目は、国内有数の微生物資源を保有する独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部(NITE-DOB)の原山重明 生物遺伝資源開発部門長にNITE-DOBでの研究や産業との関わり等についてお話を伺いました。
 NITE-DOBは「微生物のパワーをバイオ産業の発展に活かす」ため、微生物のゲノムやプロテオーム解析を行っているゲノム解析部門、標準株となる微生物の収集・保存と分譲を行っている生物遺伝資源部門、新規微生物の探索と産業利用へと結びつける研究を行っている生物遺伝資源開発部門そして特許寄託制度に基づいて特許微生物の受託と分譲を行っている特許微生物寄託センターから成り、微生物の持つ様々な機能の活用を積極的に進めています。
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聞き手 本日はお忙しいところありがとうございます。はじめにNITE-DOBの概要についてお伺いします。

原山部門長 NITE-DOBは、法人化して今年で5年目になり、来年度の第2期に向けて中期目標を策定しているところです。ゲノム解析については、設立当初より始め、その成果を一般に公開していますが、限られた人員と予算の中でいかにゲノム解析を進めていくか検討しています。産業上有用なものあるいは社会的に重要なものについて的を絞るとともに、解析についても完全解読とまで言わずある程度完成した段階まで行うことにより、できるだけ多くの種類の微生物のゲノム情報を提供していきたいと考えています。また、工業製品に標準があるように、微生物遺伝資源についてもその由来や性質が明らかな標準となる微生物を収集・提供し、研究や産業利用に役立つ基盤作りを進めていくことがNITE-DOBの使命であると思います。

聞き手 産業利用については先生が部門長をされている生物遺伝資源開発部門と関わりが深いと思いますので、部門の内容について教えてください。

原山部門長 我々は、NITE-DOBのカルチャーコレクションやゲノム情報の高付加価値化を図り、産業界に積極的に利用してもらうため、新規微生物の収集や共同研究を実施しています。新規微生物を収集するため我々は、いままでの方法にこだわらず、人のアクセスのない場所や特殊な環境において広く新規微生物の収集し解析しています。海外については生物多様性条約に則り長い準備期間を経て、ようやく4年前にインドネシアとMOU(包括的覚書)を結び、共同研究によりインドネシアでの微生物収集と国内への導入を行っています。現在、インドネシアに加え、ベトナム、ミャンマー、タイ等ともMOUを結んで微生物の収集を実施しています。日本でもNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の事業で大学や企業と共同して未知微生物を収集するプロジェクトを行っています。これは特殊環境から難培養性のものを含め新種1万株を収集するという結構ハードルの高いプロジェクトで、はじめは難航していましたが、次第に成果が出てきています。
 カルチャーコレクションの充実が高付加価値化の入り口とすると研究機関や企業での利用がその利用が出口ということになるでしょう。菌株についてはこれまで一株単位で分譲してきましたが、産業上の利用を考えると単一の菌株の利用というより、菌の持つある機能を発見するため数多くの菌からスクリーニングする場合が多いのです。そこで期間限定ですが、海外からの導入菌株の他NITE-DOBの菌株を一括して安く提供する仕組みを作り、企業で利用していただいています。また、利用法の提供にも力を入れています。分譲した菌株には維持や培養するのが難しいものもあり、そのための技術を提供することもありますが、もっと積極的には共同研究を行ってNITE-DOBの資源を有効に活用してもらうことです。現在、企業等と4つの共同研究プロジェクトを行っていますが、いずれも実用化あるいは実用化間近の成果が出てきています。こういった成果を積み重ねてNITE-DOBの生物遺伝資源は価値のあるものだという認識が深まり、利用が促進されることを期待しています。

聞き手 NITE-DOBにおいて産業利用を進める上で課題となることはありますか。

原山部門長 NITE-DOB自体は独立行政法人であって、産業利用への橋渡し役として微生物遺伝資源の基盤整備と提供を行う研究機関としての性格が強いのです。従って産業化を促進すると言っても、それに向けての体制が充分整っているとは言い難いところがあります。そういった点を効率的にまたコスト的にも改善していくためには、外部への委託も検討していくべきじゃないかと思っています。例えば、菌株についてはオリジナルをNITE-DOBで保管し、コピーを譲渡して菌株の分譲業務を委託するとか、菌株を利用する顧客の開拓を委託するとか、産業利用にあたっての契約業務を専門家に依頼するとか。そうすれば、NITE-DOBにおける生物遺伝資源の整備に力を集中でき、価値あるものにできると思います。やはり、基礎的知見や科学的基盤に基づいた信頼できる資源や情報を提供することが大切ですから。

聞き手 微生物研究について、これからどうなっていくと思われるでしょうか。

原山部門長 微生物は長い進化の過程で私たちの想像できないような特殊な環境にも生息し、動物や植物に比べて極めて多様性に富んでいます。細菌をとってみても、報告に記載されているのは約8000種にしか過ぎないが、一説によると地球上に最低106種は存在すると考えられています。したがって、微生物の研究は汲めどもつきない泉のようなもので、ここで終わりというものが無いと言えます。これから先どうなるかは誰も予想できないことですが、微生物には高いポテンシャルがあり、その利用についても限りない可能性があると思います。

聞き手 どうもありがとうございました。
■NITE-DOBのホームページ:http://www.bio.nite.go.jp/
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