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このコーナーでは、かずさ地域に関連した研究機関や企業などにおける研究や技術シーズをご紹介します。第1回目は、本年5月30日に開所した「かずさバイオ共同研究開発センター」の柴田大輔センター長にセンターの役割や研究内容についてお話を伺いました。
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聞き手 本日はお忙しいところありがとうございます。さっそくですが、「かずさバイオ共同研究開発センター」とはどのような研究を行う施設なのでしょうか。

柴田センター長 このセンターはかずさDNA研究所(以下DNA研)の付属施設として千葉県により設置されました。DNA研のこれまでの研究成果の実用化を目指し、大学などの研究機関や企業がDNA研と共同研究を行っています。施設の特徴としてはなんといってもメタボローム研究を強力に推進するための最新型質量分析器を備えていることでしょう。センターは入居されている共同研究機関と連携しながら、質量分析器を活用したメタボローム研究の技術基盤を構築し、共同研究機関が目指す実用化研究を支援するための体制作りを進めています。

聞き手 メタボローム研究とはどのような研究ですか。また、質量分析器とどのような関係があるのでしょうか。

柴田センター長 メタボローム研究はメタボロミクスとも言いますが、簡単に言えば、生体を構成する物質特に代謝産物の種類や量を網羅的に測定し、生体内における代謝産物の変動を総合的に解析する新しい学問分野です。質量分析器は文字通り、物質の質量を測る機械ですが、このセンターに導入された質量分析器は物質の精密質量を測定することができるので、物質の組成式が推定できます。また、質量分析器にかける前に物質の性質により試料を分離するクロマトグラフィー装置を連結したり、一回目の質量分析の際生じる物質の断片の質量を測定したりすることにより、構造式も推定できるのです。したがって、生体試料中の物質を同定するための強力なツールとなるわけです。
センターには、LC-FT-ICR-MS(液体クロマトグラフィー‐フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型質量分析器の略)やLC-TOF-MS(液体クロマトグラフィー‐飛行時間型質量分析器の略)のほか、物質の性質に応じて質量を測定できるよう最新の質量分析器がラインアップされ、国内でも類を見ないメタボローム研究の拠点としての役割が期待されています。

聞き手 実用化研究とはどのように結びつくのでしょう。

柴田センター長 私は植物を研究していますが、植物は食料として重要であるのはもちろん、工業用原料でもありますし、漢方薬や機能性成分といった有用物質の宝庫でもあります。これまで行ってきた遺伝子の研究とメタボローム研究を融合させることにより、植物の持つ有用物質の生産能力を高めたり、新規の有用物質を探索する技術が確立されるでしょう。それは、新品種の作出や新たな事業の創出につながり、私たちの生活を豊かにすることができると考えています。例えば、私たちは生物系特定産業技術支援センターの事業で産学官のコンソーシアムを組んで、花粉症や生活習慣病に効果のあるトマトや機能性食品の開発に向けたプロジェクトを開始しています。
微生物も抗生物質をはじめ有用物質生産のための重要な生物資源です。微生物の持つ多彩な機能を利用していく上でも、メタボロミクスを基盤としたアプローチは大きな力を発揮するでしょう。センターには、多数の微生物からクローニングした水酸化酵素遺伝子を発現させることにより、有用物質を生産するための研究を行っているグループがあります。この研究にもセンターの質量分析器を利用した物質の同定技術が大きな威力を発揮するでしょう。

聞き手 これからが、楽しみですね。今日はどうもありがとうございました。
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